めぐるのある暮らし 暮らしのシーンから
結婚に合わせて新しい暮らしに「めぐる」を迎えました
結婚式を間近に控えたある日、「めぐる」という漆器を使ってご飯を食べるワークショップに参加させて頂く機会がありました。
視覚障がい者の方々とのコラボレーションから生まれたそのユニークな形、手触り、味わい深さ――帰宅後も「めぐる」のぬくもりを忘れることができず、新しい出発の記念に、是非この器を新調したい!という思いが募りました。
こうして、結婚式に合わせて「めぐる」の二人分の三つ揃えを注文させて頂き、私たちにとって結婚指輪と同じくらい価値のある宝物として「めぐる」を新居に迎えることになったのでした。
あれから3年の月日が経ちましたが、今でも「めぐる」は私たちの生活の中で生きています。
我が家では、「めぐる」を桐箱にしまっておくのではなく、普段使いの器として食器棚に並べています。ですから、日常の中でこの「めぐる」がよく目に入ってくるわけですが、仕事に追われ家事がおろそかになっているような時にこの器と目が合うと、ハッとさせられることがあります。
「ああ、最近きちんとご飯を食べていないなあ…」なんて思ったりして。忙しさの中でも、この器を使って食べるくらいの心のゆとりを持たなきゃ!と、気持ちがリセットされるのです。
「めぐる」は、そんな、豊かさのバロメーターのような存在でもあります。
実際、「めぐる」で食卓を囲む時、その色艶は見目麗しく、どんなささやかな食べ物も美味しく感じさせてくれるから不思議です。また、食べ終わって器を洗う時でさえ、そのツルツルとした手触りの心地よさに、毎度のことながら驚かされています。まさに、五感で味わうとはこういうことなのでしょう。
こんな風に、「めぐる」は、その静かな佇まいで輝きを放ち続け、今では私の襟を正してくれる存在でもあります。
心から愛おしいと思えるこの器との出会いに、日々のささやかな幸せを頂いています。
これからも、佳き日の思い出と一緒に、ずっと大事にしていきたいです。
15年の木の生命から、たったの牛乳ビン1本分の漆しか採れないというその技術は大変なものですが、多くの方たちが漆器の良さに触れ、「本物」の味わいを知ることができたらと願います。
栃木県 名取りんごさん( 大学教諭 )