めぐるのものづくり めぐるの素材と製法

めぐるの素材と製法

伝統の漆器産地・会津から

「めぐる」は、会津漆器の腕利きの職人たちが正統な技法で作る漆器です。会津地域は森林資源に恵まれ、城下町としての歴史と共に400年以上の伝統を受け継ぐ、日本を代表する漆器産地です。雪国ならではの奥ゆかしさとぬくもり。会津漆器が本来持つ特長が、器の中にさりげなく、でも確かな息遣いとして存在しています。

日本産の漆

めぐるの素材と製法・上質な日本産の漆

漆の原料は、アジアにしか生息しない「ウルシ」という木の樹液です。この木が自分の身を守るために流す漆液の力は偉大で、一度固まってしまえば、強い酸やアルカリ、アルコールにも強く、抗菌作用もあります。漆器は年月を重ね使い込むことで、漆本来の艶と透明感を増していきます。「めぐる」では、岩手県浄法寺地域や福島県会津地方の漆掻き職人さんから上質な漆を直接仕入れて上塗りに使用しています。国産漆は、今や全流通量の僅か3%程と言われていますが、めぐるの売上の一部は、会津で漆の木を育てる活動にも活かされています。

漆掻き職人・鈴木健司さんの漆

木地

熟練の木地師によって一つ一つ丁寧に手挽きされる(水平)
熟練の木地師によって一つ一つ丁寧に手挽きされる(日月)

めぐるは、持ってみてまず、その軽さに驚かれると思います。その軽さのヒミツは「栃(トチ)の木」を使っているから。栃は軽くて優しく、粘り気があって割れにくいという性質があり、器にはうってつけの材料です。めぐるは、会津を中心に国産のトチの木を買い付け、板材で1年以上乾燥させた後、おおまかな形に粗挽きしてさらに十分に寝かせ、熟練の木地師によって一つ一つ丁寧に手挽きします。

水平の木地は全てを手挽きで仕上げています。器の角のラインや微妙なS字のカーブを表現するには、0.5ミリ単位での繊細な作業が必要です。立木に対してお椀を縦に取っていく「縦木取り」と言う方法で木取りしているため、歪みにくく、シャープなラインを表現しています。

日月の木地は、鈴木式轆轤(ロクロ)という、会津で開発された摺り型の轆轤で仕上げています。立木に対してお椀を横に取っていく「横木取り」は、厚めに挽いても軽く仕上がり、置いた時の「コツン」と響く音も心地よい器となります。

塗り

漆器「めぐる」工程見本

「めぐる」では、下地~中塗りまでは中国産の漆を、表面の上塗りには極上の岩手県浄法寺産漆を使用しています。上塗り用漆は、生の漆を購入し、作り手が自ら「めぐる」専用に精製・調合するという手間のかかった作り方をしているため、深い色合いと絶妙な肌感が表現されています。

花塗りの製法

  1. 木固め:木地を頑丈にするために漆を染み込ませる
  2. 下地1回目:使用する際に一番傷みやすいお椀の中底と裏底を丈夫にするためクッション性のある糊漆と地の粉(2辺地)で下地
  3. 下地2回目:さらに器全体を地の粉(3辺地)で下地
  4. 下地3回目:密度の高い砥の粉(3辺地)で下地仕上げ
  5. 下塗り(素黒目漆)
  6. 中塗り
  7. 上塗り(日本産)
木地溜塗りの製法

木地溜塗りの製法

※木地溜め塗りだけは、全ての工程で国産の漆を使用しています。

  1. 木固め:木地を頑丈にするために漆を染み込ませる
  2. 目擦りサビ:砥の粉と生漆で木の導管の細かい穴を埋めて研ぐ
  3. 拭き漆:全体に漆を行き渡らせて拭き取る
  4. 下塗り:透き漆(素黒目漆)を極薄で均一に塗る
  5. 下地:天縁・高台の中に生漆と地の粉・砥の粉を混ぜたもので下地をする
  6. 中塗り:透き漆(素黒目漆)を極薄で均一に塗る
  7. 黒塗り:天縁と高台の中を黒の漆で塗る
  8. 上塗り:透き漆(素黒目漆)を極薄で均一に塗る
木地溜塗りの製法

拭き漆の製法 ※2021年で生産終了となりました

  1. 木固め:木地を頑丈にするために漆を染み込ませる
  2. .砥ぎ:木目が出るまで砥ぐ
  3. 拭き漆:計4回塗りと研ぎを繰り返す(色の表現を出すための玉虫漆で2回、仕上げに日本産の漆で2回)
  4. 天ぶち処理:口当たりを滑らかにするため口縁と糸底部に素黒目漆を塗る
拭き漆の製法
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