漆器のお手入れ・お直し 漆器のお手入れ

漆器のお手入れ

漆器は元来、日本人の日常生活の道具として愛されてきた、使い勝手の良い器です。いくつかのポイントに気をつけていただければ、扱い方もすぐに慣れますし、少しのコツで輝きを増す器でもあります。漆器の上手なお育て方法をご紹介します。

ツヤを育てる楽しみ〜使い艶〜

漆器にとっては、「使うこと」が何よりのメンテナンス。乾燥が苦手な漆器は、使っては洗うを繰り返してあげることで適度な水分が与えられ、瑞々しさが保たれます。最低限覚えていただきたいのは、「やさしく洗った後、柔らかい布で拭いてあげる」こと。そうすると美しい塗膜が長持ちし、段々艶も増していきます。下の写真をご覧ください。同じ器ですが、実は左が塗ったばかりのもの、右が使用して5年ほど使ったものです。右の方が色艶が増しているのが分かると思います。これは使っては洗って拭くを繰り返すことで生まれる「使い艶」と言います。漆器は使い手が暮らしの中で育てていく器です。

漆器の「使い艶」(塗ったばかりの器と5年ほど経った器の写真)

初めて使う時〜枯らし〜

漆器の枯らし


  1. 仕上がって日の浅いものは“枯らし”を
    漆の塗膜は一旦固まった後で、さらに数年かけてゆっくり硬化を重ねていきます。漆を塗ったばかりの塗膜はまだ若いため、すぐに使うと、擦り傷が付きやすかったり、漆の匂いが気になったりします。そのため、出来上がったばかりの器を購入された場合には、最低1ヶ月、外箱から出して空気に触れた状態で食器棚の中などで陰干し(枯らし)をしてからお使いください。お使い前にひと呼吸置くことで、結果的に長持ちします。
  2. お使いはじめは記念日や季節の暦で
    漆器は使い始めをなかなか躊躇してしまうという方もたまにいらっしゃるようです。そのような時には、直近の日付で、なにかの記念日や季節の暦などを調べて、多少こじつけでも使ってしまいましょう。一回使ってみると、その心地よさに気づき、案外その後も使い続けられるものですよ。

上手な洗い方としまい方

上手な洗い方としまい方
  1. 洗い方は手洗いで(洗剤・スポンジでOK)
    漆器は手洗いが基本です。洗う時は、食器用洗剤と柔らかいスポンジを使っていただいて結構です。油もの以外は、ぬるま湯と手のひらでサッと洗うくらいでも十分です(なるべく洗剤を使わない方が漆の艶が上がっていきますし、環境にも優しいですよね)。ご飯粒などがこびり付いた場合には、5分くらいお湯か水を張って柔らかくしてから洗うと楽に洗うことが出来ます。
    スポンジについて、一点だけご注意は、「激落ちくん」などのメラミンスポンジは漆器洗いには絶対に使用しないでください。細かな研磨剤が入っており、あっという間に漆の塗膜を削り落としてしまいます。
  2. 硬いものとは分けて洗う
    漆器を痛めるタイミングで一番多いのが、洗っている時に落としたり、陶磁器や鉄製のカトラリーなどの硬いものとぶつかって塗膜が欠けてしまうことです(金属製の洗いカゴも置く時に器のフチを傷つけることがあるのでご注意ください)。そういったことを防ぐため、漆器だけ別によけておいて、最後にまとめて洗うという方法をオススメしています。
  3. 洗い終わったら水分を拭き取る
    漆器の表面に水道水に含まれるカルキ分などが水滴として残り、そのまま蒸発すると、白いウロコのような跡が付きますが、それが重なると段々白く曇り、漆本来の色艶が消えてしまいます。洗い物が済んだら、柔らかい布(蚊帳ふきんや手ぬぐいがオススメです)で水分を拭き取ってあげると、漆の塗膜は輝きを増していきます。
  4. 普段の仕舞い方
    漆器は普段使いのものならば、箱などに入れておかなくても大丈夫です。そのまま食器棚の中に収納してください。美しい器は、普段目に付きやすいところに置いておくと、忙しい日々の中でも目の安らぎを与えてくれます。

漆器が苦手なこと

漆器が苦手なこと

長時間の浸水:
漆の塗膜は微量の水分を吸収したり通したりするため、長時間水に漬けておくと、木地にまで水分が染み込み、器が歪んだり割れたりする原因となります。

食器洗浄機:
研磨剤などが入った食洗機の高圧水流は漆にとってはストレスが強く、劣化を早めます。

電子レンジ:
漆器の素地は木のため、微量の水分が含まれます。電子レンジでその水分が熱されることで器の中で亀裂を生んだり、歪みなどの原因となります。

直射日光:
耐薬品性の高い塗料である漆ですが、唯一、紫外線によって分解される性質があります。長時間日光の差し込む場所に置いておくと、塗膜が劣化していきます。

破損したまま使い続けること:
漆器の塗膜の剥がれなどを放置したまま使い続けるとそこから水分や油が染み込み、痛みを早めます。なるべくお早めに「お直し」をご相談ください。

お直しの方法

欠けてしまったら 漆繕い

欠けてしまったら 金継ぎ

器が疲れてきたら 塗り直し


詳しくはこちらのページをご覧ください

めぐるのお直し

その他のよくある質問

  • 熱いものを入れても大丈夫?
  • はい、人が食せる温度なら大丈夫です。あたたかいお味噌汁やごはんを気兼ねなく盛ってお召し上がりください。
  • 漆器でかぶれることはある?
  • 完全に固まった漆は、かぶれの心配はありません。お子様も安心してご使用いただけます。

以上、漆器の上手なお育て方法を解説しました。漆器の扱い方に迷ったら「人と一緒」と考えてください。自分が嫌がる環境は漆器も嫌がり、愛情を感じると嬉しくなります。漆の器の息遣いを感じながら、どうぞあなただけの器にお育てください。


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