めぐるのある暮らし 暮らしのシーンから

ハタチを迎える息子に<漆とロック>を贈る

オレは家を出る!息子がそう言い出したのは高校2年生のとき。
えっ?もう家から出るの?あれからはや4年。
結局紆余曲折ありながらも家から通える大学に行くことになり今はまだ家に・・・。

そのころからこのあといったい何が出来るのだろう?と思うようになった。
成長にしたがって家で顔を合わせるのは、週に数回のご飯のときぐらい。
恥ずかしながら、いわゆるおふくろの味的なモノはほとんど皆無。
家族のコミュニケーションとしてできることはなんだろう?

そこで誕生日に漆器を贈ることにした。
一人暮らしの若者はどんな器でご飯を食べるんだろう?
健康に気をつけるために食べ物のことは色々いわれるのに食器の話はなかなか出てこないものだ。
漆器を使えば食卓が変わる。
毎日使うヘビーローテンションに向くもの。
産地や作家を決めている訳ではなく、値段も様々で広く探していると、その年々に不思議と縁のある漆の道具が見つかる。
16歳・塗り箸
17歳・和でも洋でも使える皿
18歳・ぐい飲みにもなりそうなそば猪口
19歳・麺も入る大きさのお椀
よしよし、ここまでは毎日使ってくれている。

さて、成人の年に贈るものはなににしようか?
貰ったからではなく実感として自分の日々の道具になりそうな物。
前からいつか贈ろうと思っていた、「めぐる」の水平椀にすることにした。
めぐるならその開発までのストーリーが分かりやすい。
ーこれから始まる「めぐる」との暮らしにあたってーというトリセツ付き。

「漆とロック」の独特の熱さ。このバンド魂のような意気込みのこもった説明書もつけて贈ってみた。
どうやら何かが響いたらしい。そうなると、若い世代の検索力は高速。
ひとたび面白いと思うと、「めぐる」について色々調べたらしいことが会話からわかる。
大量生産型ではない社会の構築は大学の課題の中にもあるのに、その実践となると敷居が高くなるし、入り口がどこにあるか分かりづらい。

我が家の二十歳が何を感じてるのかはまだ定かではないが、彼の部屋では今、漆器を使う前の漆の"枯らし"の時間がはじまっている。
漆を今に伝える「漆とロック」の活動は伝統の根っこを見つめながら、これから新しい世代や、今まで漆と結びつかなかった場所ともセッションしていくことだろう。
漆はつなげる力のある縁起の良い物だし、どんどん生活のテンションを上げてくれる、生きるための道具。
さてこの漆、次はだれに贈ろうかな?

東京都 ツツミエミコさん(版画家・アートディレクター・美術講師)

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