めぐるの最新情報(ニュース)
すっかり秋も深まって参りましたが、いかがお過ごしでしょうか?
第8期の皆さまの「めぐる」もお届けまであと1ヶ月余りとなりました。現在は、最後の仕上げ工程に入っています。
今回お届けするのは、日月の器の「四分一(しぶいち)塗り」の様子です。
日月の漆塗りを担当しているのは、会津で三代続く塗師一富の冨樫孝男(とがしたかお)さんです。多彩な漆塗り表現を行う塗師さんで、柔軟な発想で古来の技法を現代に復刻させることにも取り組んでいます。
「四分一塗り」も、そんな冨樫さんならではの技法のひとつ。元々は刀の鞘塗りに使われていた変わり塗りの一種です。
上の図のように、漆を塗り重ねた上に、錫(すず)と炭(すみ)の粉を漆で塗り固めることで金属のような風合いを出しています。
ですので、仕上げの粉撒きをする前までは、他の花塗りの器同様、トチの木の素地の上に、丁寧に下地を塗り重ね、下塗り・中塗りと黒の漆を重ねていきます。
上の写真は、夏の時期の「下塗り」の様子です。この段階では、まだ艶々とした漆塗りとなっています。
このように漆を塗り重ねた最後、半乾き状態の漆の上に錫と炭の粉を蒔き付けて定着させます。
その撒き付ける部分をご覧になりたいところだと思いますが、そこは冨樫さんならではの独特な表現技法のため企業秘密。
昔からの単純な四分一塗りではなく、それを応用させて、複雑で美しい文様を描くように工夫されています。
ですので、このような「めぐる」のまるで惑星のような宇宙を連想させる表情も、冨樫さんならではなんです。
漆でしっかり定着していますが、さらにその上から「透き漆」を重ねて磨いていくことで、さらに丈夫さと美しい艶を出していきます。
冨樫さんの工房では、若手職人も3名働いていらっしゃいます。
制作シーンの動画は下記からご覧ください!(今回、動画編集の事情により公開が遅くなり申し訳ありませんでした。)