めぐるの最新情報(ニュース)
福島県猪苗代町にある「はじまりの美術館」で4月17日からスタートした企画展『(た)よりあい、(た)よりあう。』に漆器「めぐる」が参加しています!2021年7月11日(日)まで開催されています。
「頼る(様々なものが寄り合っている豊かさ)」ということをテーマに、6組の作家が参加する企画展です。
アート展に漆器?
そう思われるかもしれませんが、漆器が作られるまでの長い時間には自然と人の多様な「頼り/頼られる」関係があります。そうして出来上がった器を使っていく時間にも、食べるという行為を通じて折り重なる生と死の関係性があります。
今回、そのような世界を表現できる絶好の機会をいただきましたので、「めぐる」は下記のコンセプトで、今までとは違った"アート"というアプローチでの表現に挑みます。
《季節とめぐる、うつわの物語》
―あなたが手にする漆器は、どこからやってくるのだろう?
その奥を覗けば、職人たちの手を経て作られていく工程、そしてそこで使われる原料や道具まで、大きな世界が広がっています。
自然の素材を活かし、季節のリズムと共に多様な繋がりの中で進んでいく過程は、そのどれひとつが欠けても、完成しません。
そこには、たしかに「(た)よりあう」物語があります。
―あなたが手にする漆器は、どこへ行くのだろう?
樹木のめぐみからできた器は、様々な食材と交わりながら、あなたの身体と心の中へ。
お直しをしながら月日を重ねていき、最後は土に還るまで。
一食一食がめぐり、季節がめぐり、家族がめぐり、自然がめぐる。
幾重にも重なる螺旋の中にある、うつわとあなたの物語を見つけてください。
さらに今回、画家の浅野友理子さん(VOCA 展2020で大原美術館賞を受賞し、美術手帖で「2020年代を切り開くニューカマー・アーティスト100」にも選出されている方です)とコラボレーションし、展示自体も会期中に季節が進むと共に、変化・進化していきます!
《季節のリズムで進む漆器づくりのスケッチ》
この企画展開催中、画家の浅野友理子さんに、冬の終わりから初夏まで会津に何度か足を運んでいただきながら、漆のある野山や漆器・道具づくりの工房で季節ごとの風景をスケッチいただきます。会期中に、だんだん絵が増えていきますので、変化する展示をお楽しみください。
画家 浅野 友理子さん ASANO Yuriko
1990年、宮城県生まれ。2015年東北芸術工科大学大学院芸術工学研究科修士課程修了。食文化や植物の利用を切り口に、様々な土地を訪ね歩く。これまでに山間地域の木の実食文化、土地ごとに受け継がれる在来野菜や救荒植物について、出会った人々とのエピソードを交えながら記録するように描いてきた。“VOCA 展2020現代美術の展望ー新しい平面の作家たち”大原美術館賞受賞。
この企画展は、めぐるの原点であり一番の芯の部分をギュッと煮詰めながら、そのエネルギーを一気に放出して新しい扉を開く機会になりそうです。
猪苗代湖と磐梯山に挟まれた雄大な景色を楽しみながら、是非、「めぐる」のこの新たな世界を「目撃」しに来ていただけたら幸いです。
他の作家の作品も素晴らしいものばかり。全体の展示が、人と人の関係性から、だんだん自然と人、そして最後は宇宙に繋がるような世界観になっています。
これから会津もどんどん気持ち良い季節になってきます。是非、春から初夏に進んでいくこの地にお越しいただけたら幸いです。
※なお、会期中にめぐるのワークショップも開催予定ですので、また詳細が決まりましたらご案内します。
『(た)よりあい、(た)よりあう。』展
出展作家:漆器「めぐる」、笑達、しらとり けんじ、平野 智之、みずのき絵画教室、やわらかな土から
会期:2021年4月17日(土)〜2021年7月11日(日)
※火曜休館、5月4日(火)は開館、5月6日(木)振替休館
開館時間:10:00~18:00
※5月22日(土)17時閉館
会場:はじまりの美術館(福島県耶麻郡猪苗代町新町4873)
詳細・関連イベントは、ホームページをご覧ください。
https://hajimari-ac.com/enjoy/exhibition/tayoriai/
料金:一般500円、65歳以上250円、高校生以下・障がい者手帳をお持ちの方および付添いの方(1名まで)無料
主催:社会福祉法人安積愛育園 はじまりの美術館
協力:一般社団法人NOOK、漆とロック株式会社、株式会社アルプスピクチャーズ、3.11オモイデアーカイブ、NPO法人エイブル・アート・ジャパン、NPO法人La Mano クラフト工房La Mano、社会福祉法人松花苑 みずのき美術館、水戸芸術館現代美術センター、東北とリサーチとアートセンター(せんだいメディアテーク)
後援:福島県、福島県教育委員会、猪苗代町、猪苗代町教育委員会、あさかホスピタルグループ
<企画趣旨>
「自立」と聞いて、どんなことを想像するでしょうか?
私たちは子どものころから自立するよう求められたりします。それは「すべてのことを自分一人でやりなさい」というようにも聞こえます。
しかし、実際大人になったとき、すべてのことを自分一人で行っていると言える人がどれだけいるでしょうか。私たちは多かれ少なかれ、身近な人や、物、もっと言ってしまえば思い出などにも頼って暮らしているのではないでしょうか。つまり、自立とはさまざまなものがよりあって、支えられている状態ではないかと思うのです。
東日本大震災から10年を迎えた今年、地域の復興という言葉をたびたび耳にします。「復興」も地域を元に戻すことではなく、さまざまなものに頼って関係性を結び直していくことではないかと私たちは考えます。それは地域だけではなく、個人個人にも言えることです。
本展では、「頼る」ということをテーマに6組の作家を紹介します。人は、何も頼るものがないと孤独となり、頼る先が偏ると依存につながることもあります。その中で、私たちは互いに寄り合い、日々を過ごしていくのではないでしょうか。この展覧会を通して多様な「頼る」「頼りあう」に触れることが、互いの存在を認め合い、新しい関係性を作り出すきかっけになればと願います。